2021年05月18日

月刊「ショパン」で紹介されました

月刊「ショパン」の6月号のテーマは「夭折のピアニストを偲ぶ」ですが、その1人としてスルタノフも1ページ記事があります。
当支援会からも、少しお手伝いさせて頂きました。

是非お楽しみ下さい。
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2021年05月07日

アンドレイ・デニセンコ先生のオンラインレッスン

スルタノフファンでしたら、こちらの YouTube ページにはお世話になっていると思いますし、チャンネル登録もされているかもしれません。

https://www.youtube.com/user/Wolfgang527

このチャンネルのオーナーは、ロシアのピアニスト、アンドレイ・デニセンコさんです。
デニセンコ氏は、浜松や仙台のコンクールに参加したことから日本人にも名前を知られていますし、2019年には当支援会主催で東京でリサイタルも行いました(その時の報告エントリ)。
さて、この度デニセンコさんが、オンラインでレッスンを開始したという情報が入りましたので、早速試しに受講してみましたのでご報告いたします。

このレッスンサイトは、同じく日本にコンクールに来ていたPhilipp Scheucher氏が中心になって運営しています。私も仙台で会話しましたが、とてもいい人でしたし、信頼出来ます。

デニセンコさんのレッスンページはこちらです。
https://musizi.com/en/andrey-denisenko/
流れは以下となります。
1. まずはユーザー登録する(ユーザーIDとパスワードなど)
2. 気になる講師のページから、レッスン希望時間を選択する
3. クレジットカードなどを使って送金する
4. Zoom の URLが送られてくる
5. 時間になったら Zoom に入ってレッスン開始
普通の Zoom を使ってのレッスンとも言えますが、海外とのレッスンでクレジットカードが使えるのは大変便利です。
レッスン時間は30分単位になっています。お値段は一律 36.9ユーロ(2021年5月現在)で、オンラインとしてはそこそこですが、一流のレッスンを体験する価値はあると思います。

今回は、ショパンのワルツ Op.64-2 を受講してみました。30分という短い時間ですが、多くのお手本を弾きながら(美しい)、以下のようなアドバイスを頂きました。
1. 繰り返しが多い中で、どのように変化を作るか。(音量、ペダルの使い方、内声などなど)
2. 休符の取り方
3. 長い音符をどう伸ばすか、ペダルとの兼ね合い
4. エコーの感じ方
5. 流れる八分音符の練習方法(タミーラ先生と同じことを言っていた)
6. トリオの左手の半音階を美しく弾くための練習方法(ヴィルサラーゼ直伝)
7. ラフマニノフの録音からのアドバイス

デニセンコ先生は英語、ドイツ語、ロシア語が出来ますが、今回は英語で見て頂きました。
お互いにノンネイティブですから、シンプルな表現だけで伝えあいますし、案外意思疎通は出来ると思います。もし、予約やレッスンまでのフローで言語に不安がある方は私もお手伝い出来ると思うので、お知らせ下さい。レッスン時間も、お互いに交渉は出来るようです。なお時差は夏時間だと7時間です。いずれにしても、日本時間では夕方以降になると思います。私は深夜に受講しました。
オンラインレッスンですので各種制限はありますが、ビデオ環境は、私のオンラインレッスン受講の経験からすると、よいほうだと思います。

レッスン室はこんなかんじです。ヨーロッパ的なお部屋で素敵なレッスンになることでしょう。是非一度お試し下さい!
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posted by Murakami at 23:05| Comment(0) | お知らせ

2021年04月08日

古いインタビューと演奏

最近ロシア語圏のスルタノフサークルにて、以下の動画が発掘されました。

これは、1985年のインタビューです。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の3楽章が少しだけ映像で流れますが、これは未公開のものだと思います。貴重ですね。

13:39あたりから。


また 32:27 あたりから、インタビューの続きで、スルタノフのお母さん(ナタリア)との会話があります。

内容について、ロシアのスルタノフファンを代表するマリーナさんより教えて頂きました。
それでも日本語に直すと意味がわかないところが多いのですが、何となく理解出来るところもあると思います。以下にその試訳を載せます。

悩みや不安について
レポーター(R):あなたはポジティブなヒーローですか?
アレクセイ(A):いや、それほどポジティブというわけではないんです。
R:どんなことをするとお母さんが不満に思ったり、苦しんだりしますか?自分ではどう思います?
A:実のところ、何か母を怒らせるのか、私にはよくわかりません。きっと、よくあることだと思いますが。
R:じゃあ、いつものことってなんでしょう。
A: 母はいつも何かしらに怒っていますからね。
R: あなたにとって一番難しいことは何ですか?
A: 時々いる人なんですが・・・
R: いや、あなたにとって難しいことです
A: 大人や両親、先生が、受け入れられないことを要求するのが理解出来ないです。大人との関係の中で、時々こういうことがあります。
R: 受け入れることが出来ないって、どんなことでしょう。音楽の理解が異なるとかですか。それとも、勤勉さ、勉強とかそういう意味でしょうか。
A: 音楽についてもあります。ほんの些細なレベルです。でも、勤勉さという意味では、確かにあります。完全に他の世界の娯楽を捨てて音楽だけに集中する。そしていつも、成長し、読書し、真剣に励む。これはとても出来ません。だって、人は皆、人であり、何か1つだけをすることなんか出来ないです。
R: じゃあ、他のことでは、どんなことがやりたいですか?
A: そうですね。他の気晴らしとか。真面目な音楽だけだけでなく。例えば友達とどこかへ行ったり。もしくは、一緒に何か作ったりとか、そういうやつです。
R: ちょっとふざけ合う、みたいな
A: そうです。そんなかんじ。くだらない話をしたり、リラックスしたり。

オーケストラとの演奏にかぶせて:
アレクセイスルタノフは16歳で、彼はタシケントの音楽院の特別コースの生徒です。「彼は有望です」と教師たちは言います。アリョーシャはウズベキスタンでコンサートを開き、レニングラード、ノボシビルスクで演奏し、東ドイツやポーランド、ユーゴスラビアのツアーにも行きました。多くの音楽コンクールにも参加しています。もちろん、アリョーシャの人生は、明るいお祭り、人々からの感謝、音楽の喜びなどにあふれています。

R: アリョーシャ、あなたは人生の中で大きく考えが変わる重要なこととかはありましたか。何か覚えていますか?
A: はい、2年前のことで、とてもありふれた例ですが。新しい生徒が学校に来たんですが、全く違う人生で、すごく大変な状況でした。
R: どんな風に大変なんでしょう。
A: 彼は自分で生計を立てる必要がありました。早くにして父親をなくしまして。そのことは、自分を変える1つのきっかけでした。全てが簡単に行く、なんてことはそうはない。自分はある意味幸運なのだと。

32:27あたりからのエピソード:
母:あなたは両親や環境に恵まれなかったと考えているかもしれないけど、それがあなた自身こそがあなたの環境なのよ。親ではない、あなたを支える誰かが現れるかもしれないし。
A: 親や先生は環境の一部ではないということ?
母:もちろんそうだけど、あなたにとって重荷なんでしょう
R: つらいといっていましたよね。そして啓蒙だと。
A: 啓蒙だとは言ってないよ
M: 他人に天才であることを求めるけど、自分自身には求めない。でも近くいる先生たちはみんな、スホムリンスキー、コルチャック、ネイガウス、ナウモフみたいに、自分自身のためでなく、全て天才たちのためであるべきね。別に天才でなく、注目されていない人たち。彼らがどう生きるか、それがどれだけ大変か。そして不満だらけ。それが問題ね。
R: どう、アリョーシャ?
A: 確かにそうかもしれないけど。でも両親に先生への不平以外のことを言う人なんかいる?普段はこんなことを言われた、などのちょっとした不平や、あとはこう言ったとか、褒められたとか。でも、先生への印象や意見なんかを声に出して言う人はあまりいないと思うけれども。
R: 心の中にとどめておくということ?
A: もちろんそう。全部。
posted by Murakami at 20:46| Comment(0) | メディア

2021年02月13日

2000年3月 リガでのライブ録音

2000年3月に、スルタノフ夫妻はラトビアのリガでコンサートを行いました。リガは、スルタノフ夫人の出身地です。ブラックヘッドのギルドで行われたそのコンサートの録音は、スルタノフ夫人経由で当協会に伝わり、日本でリリースされました。
その時のマスターCDがこちらです。
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日本での出版については、こちらのページをご参照下さい。

YouTubeもない当時、既に闘病中であったスルタノフの秘蔵ホロヴィッツ編曲集は大変話題になりました。
一方で、このCDとは別に「ポーランド版 ライブ・イン・リガ」というものが存在して、そちらには、これには入っていないショパンのソナタ3番が入っているという話もありました。

さて、月日は流れ、あれから17年。なんと、あの日のコンサートの全録音が公開されました。Inna Davidovaさんという方が公開されて、まずロシア語圏のピアノフォーラムで話題になり、日本にも情報が流れてきました。オリジナルの投稿には、Innaさんとスルタノフの写真も紹介されていました。

そして、この投稿で初めて、曲目と演奏順を知ることになりました。確かに、ショパンのソナタ3番も入っています。本プログラムが1999年の日本公演と同じであるならば、ハンガリー狂詩曲までが本プログラムで、死の舞踏、カルメン変奏曲、結婚行進曲がアンコールピースだったと思われます。


posted by Murakami at 23:29| Comment(0) | 演奏

2021年01月26日

1995年TCUでのマスタークラスの動画

これまで公開されたことのない、スルタノフのマスタークラスの大変貴重な動画が投稿されました。
1995年の夏、クライバーン協会の主催でフォートワースのTexas Christian Universityで、2週間のマスタークラスが開催され、スルタノフも講師の1人として参加しています。

この時の大変貴重な動画が残っていました。


1人目の受講生は、ショパンの練習曲 Op.25-12を弾いています。この曲はスルタノフがクライバーンコンクールで弾いた曲です。レッスンではコードの感じ方、和音の弾き方、ラインの取り方、練習の仕方などが解説されています。模範としてもたくさん弾いています。ほんの一瞬ですが、参考に Op.10-1を弾いているのも嬉しいです。生徒の演奏も、指導にあわせてどんどん音楽的になっていくのがわかります。

2人目の受講生は、リストの超絶技巧練習曲の10番です。この曲はスルタノフが残した録音はありませんが、1999年のエリザベートコンクールでは演奏しているので、レパートリにはあったはずです。楽譜を生徒に渡したまま弾いているシーンもあり、たくさん模範も弾いているので1995年の段階でレパートリであったのでしょう。
冒頭の両手の練習の仕方を、様々なパターンについて丁寧に教えています。ショパンのバラード4番の冒頭に倣ってみたり、水が止まらずに流れるような話をしているようです。一瞬のキレのよい和音の鳴らし方(ペダルを上手く使って)なども興味深いです。練習時に左手をきちんとやっておくと、演奏する時にもっと右手で歌うことを意識出来る、といった話もしています。フォルテでありながらも、馬の手綱をとってコントロールするように、などの話。クライマックスのフォルテの和音でじっくりゆっくり弾く、というアドバイスもスルタノフらしいです。テンポについても結構指示がありました。

このレッスンがショパンコンクールの前だというのも興味深いですね。ショパンコンクールで、「またスクールボーイに戻った気分だ」と言ったのも理解出来ます。
今となっては本当に貴重なビデオです。音声はかなり埋もれてしまって聴きとれませんが、それでも学ぶところがいろいろありそうです。是非お楽しみ下さい。
posted by Murakami at 22:34| Comment(6) | 歴史