2020年03月21日

モスクワで行われたスルタノフ生誕50周年記念コンサートのご報告

以前ご紹介した通り、3/14(土)に、モスクワでスルタノフ生誕50周年記念コンサートが開催されました。
今回のコンサートは、コロナウイルスに関する政府の指令で予定した開催場所が直前で使えなくなってしまい、急遽場所をモスクワの第163番図書館に変えて開催されました。

内容:
お祝いの言葉:
Marina Laricheva (心理学者, 「ピアニスト アレクセイ・スルタノフ」グループ管理者)
Dmitry Onishchenko(チャイコフスキーコンクール入賞、ウラル音楽院講師 / レフ・ナウモフ門下 )
プログラム:
Semyon Gilev
チャイコフスキー=ヴォロドス:16の子供のための歌より子守歌 Op.54-10
ショパン:スケルツォ第3番 Op.39

Yulia Muzalevskaya(プロコフィエフ記念モスクワ音楽学校)
ラフマニノフ:練習曲 音の絵より Op.39-5

Peter Savitsky(ショパン記念モスクワ音楽学校)
スクリャービン:2つの詩曲 Op.32
ラフマニノフ:練習曲 音の絵より Op.33-6

Sergei Sultanov, Vasily Solovyov
ショパン=リスト:乙女の願い
ラフマニノフ:チェロソナタより第3楽章

当日のビデオサマリは以下です。フコンタクテ(VK / ロシアSNS)に投稿された動画です。


この公演はスルタノフに関する本を最近出版された、Mikhail Muzalevskyが主催されています。ご家族から提供された、貴重な写真の展示や、リハーサルの動画なども放映されたようです

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ご挨拶をするMikhail Muzalevskyさん

Mikhailさんのご挨拶に始まり、ロシアを代表するスルタノフファンのマリーナさんからお祝いのメッセージがありました。そして、日本でもおなじみ、ナウモフ門下のオニシチェンコからビデオメッセージがありました。

ロシア語でビデオメッセージを送るオニシチェンコ氏。
サマリー:
皆さん、私はアレクセイ・スルタノフは過去であり、現在であり、そして未来であることを喜んでお伝えしたいと思います。芸術家の人生が終わった時、その功績は汚されることなく、私たちの前に存在するのです。学校で、私たちは過去のことから多くを学びますが、アレクセイはまさにその代表となるような人です。真の天才が社会から適切な評価を受けれないことはあるでしょう。音楽家であれば、社会からの評価を期待するのは当然のことです。アレクセイは生前受けていた評価が不適切であったことは皆が知るところです。彼はこれから評価されるのです。
私は個人的にアレクセイにとても親しみを持っています。レフ・ナウモフツリーの一員であるからです。ナウモフ門下は1つの家族です。私にとって、このナウモフツリーの一員でいられていることは、大きな喜びです。私は、アレクセイの名前がこの世から消えることなく、彼の記憶や残した遺産が次世代に引き継がれるために全力を尽くしたいと思っています。


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演奏をするSemyon Gilevさん。
(なお Semyon Gilev さんの YouTubeチャンネルを見ると、彼が長年のスルタノフファンであり、そして、この Op.10-1 の演奏から素晴らしいテクニックを持った音楽家であることがわかります。)

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演奏をするYulia Muzalevskayaさん

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演奏をするPeter Savitskyさん

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演奏をするSergei Sultanovさん

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演奏をするSergei SultanovさんとVasily Solovyovさん

会場にはスルタノフの両親もいらっしゃって、コンサートの開催に感謝されていたとのことです。
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会場のファイザル氏(スルタノフ父)
posted by Murakami at 22:29| Comment(2) | コンサート

2020年03月04日

1988年フランクフルト公演のチラシ

スルタノフの公演チラシの中でもとても貴重な1988年のものが発掘されたのでご紹介します。

こちらの画像は、1988年10月30日、フランクフルトのモーツァルトホールでの公演になります。
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曲目は以下の通りです。
- モーツァルト:ピアノソナタ第10番 ハ長調 KV.330
- ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番 ヘ短調 op.57 「熱情」
- ショパン:バラード第4番 ヘ短調 op.52
- リスト:メフィストワルツ第1番 イ長調 G.514 (レーナウのファウストに基づくエピソード 第2番)
- プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番 変ロ長調 op.83
曲目の書き方などは、ドイツならではの変わったところもあるのかなと思います。

スルタノフの過去の公演記録は、クライバーンコンクール優勝後のものが多く 1988年頃何を弾いていたかがわかるのは貴重です。ここにあるものの中でショパンのバラード以外は全て翌年のクライバーンコンクールでも演奏されています。
posted by Murakami at 23:54| Comment(0) | コンサート

2020年02月27日

モスクワで生誕50周年記念コンサートが開催されます

生誕50周年記念イヤーは正確には昨年でしたが、今度3月にスルタノフ生誕50周年記念コンサートがモスクワで開催されます。

日本でもよく知られた、スルタノフの弟 Sergei Sultanov に加え、 Semyon Gilev, Pyotr Savitsky, Yulia Muzalevskaya といったメンバーが演奏します。
当日はスルタノフのご家族が提供される過去の写真やビデオが紹介されるとともに、チャイコフスキー、ラフマニノフ、スクリャービン、ショパンの作品が演奏されます。

3月14日(土) 12:00開演で、場所はモスクワの雀が丘、コシギナ通り17番にある図書館のホールのようです。
入場料は無料ですが会場は狭いので事前に連絡が必要です。もしこの時期にモスクワにいる方でご興味があれば私か、もしくはモスクワ在住のMarina Larichevaさんまでご連絡下さい。
当日の写真やビデオは後日公開される可能性もあるとのことですが、ビデオ撮影をしてくれる優秀なボランティアを別途募集中ということですので、こちらもアテがあればお知らせ下さい。

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以下は、ロシア語版スルタノフ本の著者であり、今回のコンサートの企画をされたMikhail MuzalevskyさんのFacebookページへの投稿です。
posted by Murakami at 20:56| Comment(0) | コンサート

2020年02月02日

スルタノフが使った楽譜(1) ショパン

スルタノフ夫人が、このたびフォートワースから引っ越されることになりました。それをきっかけとしてか、フォートワースにあるスルタノフが使っていた楽譜のコレクションの一部が、日本に送られてきましました。内容は自由に共有してよいと言われています。このスルタノフが直接使ったという楽譜がどのようなものなのか、そして中身はどうであったのかを、本日のブログではご紹介します。
以前のブログで、スルタノフが使った楽譜についてをご紹介したことがありました。この時、弟セルゲイ氏の証言からは、スルタノフはほとんど書き込みをしない、と聞いておりましたが、確かにそのようなことは感じ取ることが出来ます。また、きっと同じ曲であっても、たくさんの楽譜を持っているのでしょう。

(2/3 updated) 一部の鉛筆での書き込みは、Teldecへの録音を行った時のマスターテープを聞いて、スルタノフからサウンドプロデューサーへの指示だということがわかりました。

ショパン:エチュード集
パデレフスキ編のロシア語版です。購入もロシア(ソ連)であったと思われます。
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だいぶ古くなっていますが、驚くことに一切の書き込みがありません。
唯一、スルタノフの得意レパートリでもある「革命のエチュード」のページにポストイットが貼ってありましたが、やはり書き込みはありません。
幼少期にはポポヴィチ先生と多くのエチュードを弾いていたことを考えると、この楽譜は2冊目のものではないかと思います。
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ショパン:ポロネーズ集
パデレフスキ編ですが英語版です。何故か表紙に英語で「Thank you」の文字があります。
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この本も基本的に書き込みはないのですが、英雄ポロネーズのページにのみポストイットが貼ってあり、いろいろと鉛筆で書き込みがあります。主題に入る前のカウントの仕方について注意書きがあります。
TELDECのエンジニアとの会話ではないか、という話もありますが、はっきりとはしません。Thank you の筆跡を比較すると、少なくともこのページの「Thank you」は本人が書いた可能性が高いと思います。
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最初のページ以外はほとんど書き込みはないのですが、一部書き込みを見つけました。ただし、ちょっと解読出来ません。
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ショパン:スケルツォ集
パデレフスキ編のロシア語版です。表紙には英語で、大変薄い鉛筆で「〇をつけた部分は何かおかしい部分、、、もうほとんど出来ているので、あと少し」のようなことが書いてあります。
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まずスケルツォの1番ですが、スルタノフの筆跡で"Thank you very much. Very well done" と書かれています。TELDECのエンジニアへのメッセージかもしれませんが、はっきりとはわかりません。
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次にスケルツォの2番ですが、こちらも使われた形式があり、正確に判断出来ないのですが「時には録音を聞いてみると、、、」と書かれています。アナログかデジタルかなどのようなコメントも見られます。
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解読不能な書き込みもありました。何語かもわかりません。
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スケルツォ4番も多少の書き込みがあります。あちこちに 121 という記載があります。意味がわかりませんが、123 ではなく 121 とカウントするのでしょうか。
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もう1つ
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ショパン:ピアノ協奏曲
こちらは古くて本の表紙は取れていますが、パデレフスキ編です。ロシア語版。
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この本は間違いなくスルタノフ本人が学生時代に勉強に使ったと思います。書き込みは基本的にロシア語ですが、音楽用語はそのままアルファベットで書きこまれるようです。スルタノフがこの曲をいつ勉強したかははっきりしませんが、強い書き込みはポポヴィチ先生のものと思います。
アドバイス、強弱や音楽用語、指使いなどそこそこの書き込みがあります。
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さて、これは協奏曲集で、果たしてスルタノフは1番を練習していたのかどうか、というのが気になるところですが、2番と比べると1番のページは真っ白です。しかし、非常に注意深く見てみたところ、2点だけ書き込みを発見しました。
まず1つ目は冒頭ですが、謎の「086」という書き込みがあります。意味はわかりません。
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もう1つ、何故か赤丸がついているところを発見しました。これ以外には本当に書き込みがありません。
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ところで、実はもう1冊、ショパンの協奏曲の2番のみの楽譜が入っていました。モスクワ出版のもので、かなり古い楽譜です。
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この楽譜にはほとんど書き込みがありません。おそらくコンチェルトなので、楽譜を2冊保有していたのではないかとも思います。2楽章のほんの一部だけ書き込みがありました。ひょっとするとポポヴィチ先生が、ついつい書いてしまったのかもしれません。
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ショパン:バラード集
アメリカでお馴染みのSchirmer版です。表紙にはやはり鉛筆で Thank youの文字があり、誰かのお茶目な You're welcome のサインもあります。
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スルタノフのレパートリと言えば1番と4番ですが、1番には書き込みがありません。
しかし、この楽譜には大変興味深い記述がありました。1番の最後のページですが、Carl Tausig はこのように弾いたとして、3度のスケールが書いてあります。スルタノフは1997年公演などでまさにこのように弾いていますが、この楽譜の影響かもしれません。
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バラード4番には書き込みがありますが、これもTELDECのエンジニアとの会話の可能性があります。
最初のページには、間違い(?)がある部分などに〇をした、という書き込みがあり、楽譜のところどころに〇がついています。
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読めませんが書き込みがあります。
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こちらも理解は出来ないですが、親指のDに〇がついているのは、何となくスルタノフらしいと思います。
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テンポについての注意もあります。
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コーダにもいくつか注意が書かれています。
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ショパン:ピアノソナタ第3番
今回手元にあるショパンの楽譜のほとんどは、書き込みがあまりないのですが、この曲は書き込みが激しいです。楽譜は、本そのものではなく、持ち運ぶために製本したものです。
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3楽章には、文字の書き込みがあります。ポポヴィチ先生なのか、ナウモフ先生なのか。
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ショパン:ノクターン作品55(自筆譜)
何故か入ってました。スルタノフも自筆譜を読むことがあったのでしょうか。作品55はレパートリにはありませんが、晩年のホロヴィッツがOp.55-2を弾いていたので、興味があったかもしれませんね。
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中も綺麗です。
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さて、頂いた楽譜の多くはショパンでしたが、それ以外もあります。
別のエントリでご紹介させて頂きたいと思います。
posted by Murakami at 17:05| Comment(0) | 一般

2020年02月01日

グネーシン音楽学校に飾られた写真

以前、「モスクワに飾られるスルタノフの写真」というブログエントリで、下田幸二先生のTwitter写真をご紹介したことがありますが、おそらく同じものを撮影した別の写真を、モスクワ在住のピアニスト様から頂きましたので、ご紹介させて頂きます。

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ホールに飾られた写真ということですが、これは、グネーシン音楽学校の大ホールの舞台裏に入ってすぐのところに飾ってあるそうで、逆に言うと通常のコンサート客は見れないところに飾ってあるようです。貴重ですね。

なお、写真の右下には何やらロシア語でごにょごにょ書いてありますが、ここには
クライバーン国際コンクール第1位受賞(フォートワース/USA)、ショパン国際コンクール最高位受賞(ワルシャワ/ポーランド)と書いてありそうです。

前回のブログエントリでも書きましたが、スルタノフは2000年にここでコンサートを行っています。既にアメリカ在住時代ですから、モスクワのファンにとっては大変貴重な機会だったと思います。
以下はその時の1シーンです。
posted by Murakami at 21:05| Comment(0) | 一般