2020年08月07日

クリーブランドのVirtu(al)osoコンクール

スルタノフがタシケント時代に師事していたタマーラ・ポポヴィチ先生は名教師で、数多くの著名ピアニストを輩出しています。その1人、タミーラ・サリムジャーノワが、現在クリーブランド主催のバーチャルコンクールに参加しています。
タミーラは当支援会とのつながりも深く、長年交流をしているピアニストです。タミーラ自身もポポヴィチ同門としてスルタノフのことを深く尊敬しています。そして、このコンクールではファイナリストの6名に選ばれました。発表があった 8/6 は、ポポヴィチ先生の没後10年の記念日、そして演奏をする 8/7 はスルタノフの誕生日と、彼女にとって繋がりの強い日になりました。是非応援したいと思います!

https://www.pianocleveland.org/competitions/virtualoso-a-global-piano-competition/virtualoso-finalists/

さて、このコンクールの良いところは、バーチャル配信で聴衆がインターネット経由で楽しめるところですが、さらに聴衆からは演奏家を支える3つの方法が用意されています。

1. 応援のメッセージを送る
以下のページの「Send Well Wishes to Contestants」から、簡単にメッセージを送れます。名前とE-メールアドレスと、コンテスタントの名前を入れて、メッセージ本文を書きます。
I really liked your performance! とか、Thank you for your beautiful performance! とかでもよいと思います。当支援会からもタミーラにここからメッセージを入れました。ピアニストにとっては、とてもモチベーションになるそうです。
https://www.pianocleveland.org/virtualoso-broadcast/

2. 寄付を送る
こちらの寄付を送るページからは、クレジットカードで5ドルから寄付を送ることが出来ます。
https://www.pianocleveland.org/donate/
寄付を入れると、配信ページに名前が出るようになります。(知らずに Alexei Sultanov Organization of Japanも出るようになってしまいました。)

寄付ページの書き方です。
1) まず Donate to で Select Contestant から誰かを選びます。
2) Support for は、Virtu(al)oso Contestant Fund でよいです
3) Tribute Gift は、今回の寄付のモチベーションになっている過去の偉人などがあれば入れて下さい。
In honor of は過去の有名人の名前で、In Memory of は個人的な知り合いの誰か(父親とか)を入れます。送り主ではなく、この寄付のモチベーションになっている人の名前を書きます。
4) 寄付したことを誰かに知らせる必要があれば、「Please notify the following person of my gift」をクリックして情報を入れます。
5) クレジットカード情報をPayment Detailsに入れます。見た感じ安全だと思います。
6) Billing Address のところに誰からの寄付か、を書きます。もし組織の名前で出す場合は「Make this gift on behalf of an organization」をチェックして組織名を書きます。
好きなピアニストを直接サポート出来る機会ですし、5ドルから出来るので、是非挑戦してみて下さい。

3. 聴衆賞の投票をする
本選では、聴衆賞の投票が可能になっています。
(執筆時点ではやり方未発表)

スルタノフの妹弟子のタミーラを応援するもよし、日本から参戦のピアニストを応援するもよし、この国際コンクールに聴衆として参加してみるのも楽しいかと思います。

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posted by Murakami at 00:53| Comment(0) | 一般

2020年08月02日

ロシアピアニズム解説に関する動画のご紹介

当支援会にも多大な貢献をされている、モスクワ系人気YouTuberのアーニャさんが、ロシアピアニズムについて大変わかりやすい動画を投稿されていましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。

アーニャさんは、動画の中でもスルタノフファンであることを公言されていますが、ウラシン(1995年のショパンコンクール入賞)などレフ・ナウモフ系に強い興味をもたれて研究されています。まだまだ用語先行で広まっている「ロシアピアニズム」という言葉ですが、その適格な理解にあたり大変有益な内容が含まれている動画だと思います。動画の中では、スルタノフの背の高さ(160cm弱とよく言われています)などにも言及されていますが、あれだけ豪快な演奏をするスルタノフが、他のロシア人に比べてかなり体が小さかったということは、再度認識しておくべきことだと思いました。

この動画が素晴らしいのは、ロシアピアニズムに興味を持ちモスクワに留学したピアニストが、自分の経験や学んだことを中心に、自分の考えを明確に言い切っている点だと思います。客観的なレクチャーというより、カフェで目の前の留学帰りの友達がちょっと熱く語っている、くらいな気持ちで見て理解するとよいと思います。



是非お楽しみ下さい!(いいね、と、チャンネル登録もあわせてお勧めします!)
posted by Murakami at 23:32| Comment(0) | 一般

2020年02月02日

スルタノフが使った楽譜(1) ショパン

スルタノフ夫人が、このたびフォートワースから引っ越されることになりました。それをきっかけとしてか、フォートワースにあるスルタノフが使っていた楽譜のコレクションの一部が、日本に送られてきましました。内容は自由に共有してよいと言われています。このスルタノフが直接使ったという楽譜がどのようなものなのか、そして中身はどうであったのかを、本日のブログではご紹介します。
以前のブログで、スルタノフが使った楽譜についてをご紹介したことがありました。この時、弟セルゲイ氏の証言からは、スルタノフはほとんど書き込みをしない、と聞いておりましたが、確かにそのようなことは感じ取ることが出来ます。また、きっと同じ曲であっても、たくさんの楽譜を持っているのでしょう。

(2/3 updated) 一部の鉛筆での書き込みは、Teldecへの録音を行った時のマスターテープを聞いて、スルタノフからサウンドプロデューサーへの指示だということがわかりました。

ショパン:エチュード集
パデレフスキ編のロシア語版です。購入もロシア(ソ連)であったと思われます。
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だいぶ古くなっていますが、驚くことに一切の書き込みがありません。
唯一、スルタノフの得意レパートリでもある「革命のエチュード」のページにポストイットが貼ってありましたが、やはり書き込みはありません。
幼少期にはポポヴィチ先生と多くのエチュードを弾いていたことを考えると、この楽譜は2冊目のものではないかと思います。
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ショパン:ポロネーズ集
パデレフスキ編ですが英語版です。何故か表紙に英語で「Thank you」の文字があります。
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この本も基本的に書き込みはないのですが、英雄ポロネーズのページにのみポストイットが貼ってあり、いろいろと鉛筆で書き込みがあります。主題に入る前のカウントの仕方について注意書きがあります。
TELDECのエンジニアとの会話ではないか、という話もありますが、はっきりとはしません。Thank you の筆跡を比較すると、少なくともこのページの「Thank you」は本人が書いた可能性が高いと思います。
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最初のページ以外はほとんど書き込みはないのですが、一部書き込みを見つけました。ただし、ちょっと解読出来ません。
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ショパン:スケルツォ集
パデレフスキ編のロシア語版です。表紙には英語で、大変薄い鉛筆で「〇をつけた部分は何かおかしい部分、、、もうほとんど出来ているので、あと少し」のようなことが書いてあります。
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まずスケルツォの1番ですが、スルタノフの筆跡で"Thank you very much. Very well done" と書かれています。TELDECのエンジニアへのメッセージかもしれませんが、はっきりとはわかりません。
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次にスケルツォの2番ですが、こちらも使われた形式があり、正確に判断出来ないのですが「時には録音を聞いてみると、、、」と書かれています。アナログかデジタルかなどのようなコメントも見られます。
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解読不能な書き込みもありました。何語かもわかりません。
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スケルツォ4番も多少の書き込みがあります。あちこちに 121 という記載があります。意味がわかりませんが、123 ではなく 121 とカウントするのでしょうか。
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もう1つ
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ショパン:ピアノ協奏曲
こちらは古くて本の表紙は取れていますが、パデレフスキ編です。ロシア語版。
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この本は間違いなくスルタノフ本人が学生時代に勉強に使ったと思います。書き込みは基本的にロシア語ですが、音楽用語はそのままアルファベットで書きこまれるようです。スルタノフがこの曲をいつ勉強したかははっきりしませんが、強い書き込みはポポヴィチ先生のものと思います。
アドバイス、強弱や音楽用語、指使いなどそこそこの書き込みがあります。
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さて、これは協奏曲集で、果たしてスルタノフは1番を練習していたのかどうか、というのが気になるところですが、2番と比べると1番のページは真っ白です。しかし、非常に注意深く見てみたところ、2点だけ書き込みを発見しました。
まず1つ目は冒頭ですが、謎の「086」という書き込みがあります。意味はわかりません。
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もう1つ、何故か赤丸がついているところを発見しました。これ以外には本当に書き込みがありません。
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ところで、実はもう1冊、ショパンの協奏曲の2番のみの楽譜が入っていました。モスクワ出版のもので、かなり古い楽譜です。
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この楽譜にはほとんど書き込みがありません。おそらくコンチェルトなので、楽譜を2冊保有していたのではないかとも思います。2楽章のほんの一部だけ書き込みがありました。ひょっとするとポポヴィチ先生が、ついつい書いてしまったのかもしれません。
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ショパン:バラード集
アメリカでお馴染みのSchirmer版です。表紙にはやはり鉛筆で Thank youの文字があり、誰かのお茶目な You're welcome のサインもあります。
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スルタノフのレパートリと言えば1番と4番ですが、1番には書き込みがありません。
しかし、この楽譜には大変興味深い記述がありました。1番の最後のページですが、Carl Tausig はこのように弾いたとして、3度のスケールが書いてあります。スルタノフは1997年公演などでまさにこのように弾いていますが、この楽譜の影響かもしれません。
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バラード4番には書き込みがありますが、これもTELDECのエンジニアとの会話の可能性があります。
最初のページには、間違い(?)がある部分などに〇をした、という書き込みがあり、楽譜のところどころに〇がついています。
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読めませんが書き込みがあります。
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こちらも理解は出来ないですが、親指のDに〇がついているのは、何となくスルタノフらしいと思います。
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テンポについての注意もあります。
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コーダにもいくつか注意が書かれています。
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ショパン:ピアノソナタ第3番
今回手元にあるショパンの楽譜のほとんどは、書き込みがあまりないのですが、この曲は書き込みが激しいです。楽譜は、本そのものではなく、持ち運ぶために製本したものです。
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3楽章には、文字の書き込みがあります。ポポヴィチ先生なのか、ナウモフ先生なのか。
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ショパン:ノクターン作品55(自筆譜)
何故か入ってました。スルタノフも自筆譜を読むことがあったのでしょうか。作品55はレパートリにはありませんが、晩年のホロヴィッツがOp.55-2を弾いていたので、興味があったかもしれませんね。
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中も綺麗です。
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さて、頂いた楽譜の多くはショパンでしたが、それ以外もあります。
別のエントリでご紹介させて頂きたいと思います。
posted by Murakami at 17:05| Comment(0) | 一般

2020年02月01日

グネーシン音楽学校に飾られた写真

以前、「モスクワに飾られるスルタノフの写真」というブログエントリで、下田幸二先生のTwitter写真をご紹介したことがありますが、おそらく同じものを撮影した別の写真を、モスクワ在住のピアニスト様から頂きましたので、ご紹介させて頂きます。

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ホールに飾られた写真ということですが、これは、グネーシン音楽学校の大ホールの舞台裏に入ってすぐのところに飾ってあるそうで、逆に言うと通常のコンサート客は見れないところに飾ってあるようです。貴重ですね。

なお、写真の右下には何やらロシア語でごにょごにょ書いてありますが、ここには
クライバーン国際コンクール第1位受賞(フォートワース/USA)、ショパン国際コンクール最高位受賞(ワルシャワ/ポーランド)と書いてありそうです。

前回のブログエントリでも書きましたが、スルタノフは2000年にここでコンサートを行っています。既にアメリカ在住時代ですから、モスクワのファンにとっては大変貴重な機会だったと思います。
以下はその時の1シーンです。
posted by Murakami at 21:05| Comment(0) | 一般

2019年12月31日

2019年、今年1年どうもありがとうございました

2019年はスルタノフ(1969-2005)の生誕50周年でした。いつも当ブログを応援して下さっている皆様に感謝申し上げます。

今年の8月7日まで、別名「週刊アリョーシャ」として、このブログを毎週1本投稿することは、ここ数年の目標でした。今後少しペースを落とすものの、スルタノフを愛する日本のファンのために、情報提供を続けていきたいと思います。

今年はメモリアルイヤーであったこともあり、いろいろな活動がありました。

まず3月には、「Tribute to Sultanov Vol.5 〜今泉響平 CD発売記念リサイタル〜」を実施しました(終了報告)。スルタノフファンだけでなく、ホロヴィッツファンの方々にも会場へお越し頂き、音楽を共有出来たことはよかったです。また、このコンサートがきっかけとなり、「ホロヴィッツ 全録音をCDで聴く」の中で、スルタノフに関する内容も言及されたことは喜ばしいことです。

5月にはテキサスでスルタノフのトリビュートコンサートが開催されました。こちらも毎年のことですが、Daceさんが大変精力的に活動されています。フォートワースにスルタノフの噴水を作るというプロジェクトの進行状況も報告されました。なお、Daceさんはこの年末に、テキサスから別の町へ引っ越しされるという話もあります。今後アメリカのサポートコミュニティがどのようになっていくかは、当ブログでも報告していきたいと思います。

同じく 5月には、ピアニストの今泉響平さんが、スルタノフ版の楽曲が含むCDを発売されました。収録された楽曲はこれまで Tribute to Sultanovシリーズでも演奏されてきました。是非ご本人にも聞いて頂きたかった力作です。

6月には、仙台国際音楽コンクールで来日していた、スルタノフファンの、アンドレイ・デニセンコ氏との交流企画を実施しました(終了報告)。大変フレンドリーなデニセンコ氏との交流で、スルタノフというピアニストを通じて、日本とロシアの距離がまた1つ縮まることになりました。

さらに6月には、ピアニストの日高志野さんが、スルタノフの故郷タシケントでコンサートに出演したことをご紹介しました。そして、この演奏会がスルタノフ作によるモーツァルト協奏曲カデンツァの本人以外の初演ということになります。歴史的なイベントでした。日高さんは、ウスペンスキー音楽学校とも交流をしてきて下さり、私たちの理解もますます深まりました。

8月には今年の最重要企画であった、Tribute to Sultanov 特別版を開催し、豪華4組のピアニスト、さらには若い学生たちによるスルタノフイベントを開催することが出来ました(終了報告)。
このコンサートを世界に紹介することをきっかけに、ロシアのスルタノフファンの方々ともコミュニティ同士交流することが可能になりました。

9月にはポーランドのクラクフで、スルタノフの生誕50周年をもお祝いに含む、Sfogato国際音楽祭が開催されました(終了報告)。日本のコミュニティを代表して、ポーランドの代表、および弟のセルゲイ氏と3人で連弾を行いました。
さらに、プライベートな話ではありますが、その後モスクワではスルタノフファミリーと会食をし、交流を深めて参りました。

12月にはロシアのオムスクで、スルタノフの名前を冠にした音楽イベントが開催されました。

今年は各種イベントを企画出来たこともよかったですが、世界中のスルタノフファンと大きく繋がることが出来ました。これは、日本がこれまで実施してきたイベントを世界に紹介出来た、という意味でもあり大変よかったです。
日本はロシアに比べてイベントは開催出来ているものの、ロシアにはスルタノフの音楽を真に愛するファンがまだたくさんいるのだ、ということをよく理解しました。彼らとともに、世界レベルの新しい活動も今後生まれていくと思います。

来年2020年は、スルタノフの没後15周年の記念イヤーでもあります。日本では特にイベントを今のところ企画しておりませんが、世界中でまた何らかイベントが開かれるでしょう。当ブログでは、そこらへんも、またお伝えしていきたいと思います。

本年1年、ブログをお読みいただきどうもありがとうございました。また来年も、どうぞよろしくお願いいたします。
posted by Murakami at 16:25| Comment(0) | 一般