2019年03月03日

シューベルトの即興曲 op.90-4

スルタノフの後期のレパートリの1つ、シューベルトの即興曲 op.90-4 をご紹介します。
この曲は、おそらく1999年の公演用として使われ出したかと思います。東京公演など、本プログラムにない公演ではアンコールピースとしてよく演奏されましたし、名古屋公演では本プログラムの中の1曲として使われました。
この曲は「スルタノフ編」と言ってもよい解釈で演奏されていて、立体的に表現されています。初めて聞いた方は、そのスルタノフワールドに驚かれたかと思います。正式な録音は残っていないものの、幸いライブ録音が残っていました。


ホロヴィッツもこの曲を演奏しておりますので、あわせて聞いてみると影響や違いなどがわかって面白いかと思います。


さて、このシューベルトの即興曲 op.90-4(スルタノフ編) ですが、今度 3月31日(日) の "Tribute to Sultanov Vol.5" コンサートにて演奏されます。生演奏では滅多に聴けないレパートリになりますので、ご興味ありましたら是非以下のコンサートへご来場ください。

Tribute to Sultanov Vol.5 〜今泉響平 CD発売記念リサイタル〜

今回ご紹介するスルタノフの演奏やホロヴィッツの演奏と共に、こちらのコンサートもスルタノフやホロヴィッツの演奏をより楽しむ1つのきっかけとして、お越し頂けると嬉しいです。

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posted by Murakami at 11:53| Comment(0) | 演奏

2019年02月24日

ショパン:ノクターン第9番 op.32-1

スルタノフが演奏するノクターンと言えば、1995年のショパンコンクールや日本公演でも演奏した13番が圧倒的に知られています。その中で、実は残された音源の中に1つだけまぎれて、ノクターンの9番が演奏されているものがあります。非常に貴重な録音です。



このYouTubeの動画には1984年、15歳の時、という記載がありますが、私はこれについて確信はありません。
間違いないのは、「現カザフスタンのアルマトイ(当時のアルマ・アタ)」での公演で、おそらくチャイコフスキーの協奏曲を弾いた時のアンコールではないか、と思っています。また、クライバーンでのデビュー後にカザフスタン公演を行った記録はないので、1984年というのも根拠があるのかもしれません。

なお、スルタノフはパデレフスキ版の楽譜でショパンを弾いていた、と言われていますが、ここの小節は少し変えてCisを再度弾いています。世の中には、この録音のような楽譜も存在しているため、ひょっとするとソ連時代の楽譜の影響であったり、ナウモフ先生の指導であったり、背景があるのかもしれません。
また、最後に突然でてくるG7 も、ppではなくfで弾いており、そこも興味深いです。
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posted by Murakami at 11:30| Comment(0) | 演奏

2019年02月17日

チャイコフスキーの四季

前回は、ドゥムカの演奏を紹介しましたが、スルタノフはチャイコフスキーの四季の録音もいくつか残しています。当時オフィシャルホームページのレパートリには、「四季」とだけ書かれていましたが、実際には12曲の録音はなく、残されているのは2曲のみです。

スルタノフが出場した1986年と1998年のチャイコフスキーコンクールでは、四季が課題曲に含まれるため、何か1曲を選んで弾く必要があります。現在は何を弾いたか知られていますが、皆さんだったら、何月を弾くのがスルタノフらしいと思われるでしょうか。私はもう少し元気なものを選ぶかと思い、「10月」や「11月」は少し意外でした。

さて、1998年のチャイコフスキーコンクールで演奏した「10月」は、最終的には Chicago Tribune の追悼記事でも音源が紹介されるなど、あまりコンサートでは演奏されなかったレパートリですが、そこそこ知られるようになりました。



実際の演奏姿はこちらです。1次予選で、熱情ソナタ1楽章の直後、3曲目として演奏されました。ppからffまで、コンクール出場者の演奏とは思えない円熟の演奏です。ゆっくりな演奏の中でも、ホールに音が非常によく響いているのがわかります。


さて、嬉しいことに、10月だけでは11月の演奏も残っています。1986年のチャイコフスキーコンクールでは、11月のほうを演奏しており、その時な貴重な録音も残っているのです。


さらに、実は1998年のチャイコフスキーコンクールの「リハーサル」という動画の中では、何故か10月ではなくて、11月が演奏されています。この「リハーサル」というのは、「予備予選」のことではないかと言われています。いずれにせよ、コンサートで演奏されなかったレパートリをこのように12年間の成長を比較しながら聴けるというのは、大変ありがたいことです。
posted by Murakami at 11:30| Comment(0) | 演奏

2019年02月10日

チャイコフスキー:ドゥムカ

YouTubeを見ていると、スルタノフの演奏するドゥムカが楽譜と一緒に投稿されていました。このように楽譜と一緒に演奏を聴くと、より理解が進みますのでご紹介させて頂きます。


例えば 3:10 から始まるフレーズは楽譜を少し変えて弾かれているのがわかります。内声などの工夫もあちこちでおこなわれており、特に4:12からのフレーズは、楽譜のどこにそんな音が書いてあるのか見失うほどです。4:55からのオクターブのテクニックも見事ですね。

なお、答え合わせのようですが、この音源は、間違いなく 1998年のチャイコフスキーコンクールでの演奏です。以下を聴いてみるとわかるかと思います。


結構コンクールで大胆な演奏をしているのがわかりますね。1986年(16歳)のチャイコフスキーコンクールでもこの曲を弾いていますが、これほど自由な演奏でないことを考えると、1998年は既にコンサートピアニストとして活躍しており、コンサートでのあるかのように演奏しているということがわかります。

さて、最後にホロヴィッツの演奏をご紹介します。上記を確認してからこのホロヴィッツの演奏を聴くと、いかにスルタノフがホロヴィッツに影響を受けていたかがわかるかと思います。
posted by Murakami at 17:36| Comment(0) | 演奏

2019年01月13日

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 K.466

前回モーツァルトの演奏をご紹介しました。(モーツァルト:ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K382

この時の公演(1994年の11月18-19にテキサス州エルパソ)で弾いた、モーツァルトの20番の録音も貴重なものとして残っています。モーツァルトの20番はスルタノフは子供の頃から弾いており、10歳の頃の録音も残されています。これは、タマーラ・ポポヴィチ門下の他の神童も弾いていることを見ると、ポポヴィチ先生の教育方針だったとも見えます。
この曲は、大人になってからも時々弾いていますが、記録を見る限りその機会はかなり限られています。1999年4月9日、ポーランドのカトヴィッツェでの演奏(ポーランド国立放送交響楽団。指揮:Gaetano Delogu)がポーランドのラジオで放送されたことがありますが、今現在流通されている音源は、このYouTubeにある1994年のもののみと言えます。



録音状態にはほんの少し惜しいところがあるのですが、あちこちにスルタノフの工夫が満載であることがよくわかります。その工夫により、曲は大変魅力的に加工されており、モーツァルト自身このような演奏を望んだのではないか、などと称賛されています。カデンツァはベートーベンを使っています。演奏は全般的に1999年の録音と同じようなスタイルで弾かれていますが、カデンツァのトリルの弾き方など異なっているところもあり、5年間で演奏スタイルがどのように変わったかなどの研究対象としても重要です。

この曲が日本で演奏された記録はないと思いますが、この貴重な録音がこうして残されていることに感謝しつつ、是非演奏をお楽しみ下さい。
posted by Murakami at 23:09| Comment(0) | 演奏