2019年02月10日

チャイコフスキー:ドゥムカ

YouTubeを見ていると、スルタノフの演奏するドゥムカが楽譜と一緒に投稿されていました。このように楽譜と一緒に演奏を聴くと、より理解が進みますのでご紹介させて頂きます。


例えば 3:10 から始まるフレーズは楽譜を少し変えて弾かれているのがわかります。内声などの工夫もあちこちでおこなわれており、特に4:12からのフレーズは、楽譜のどこにそんな音が書いてあるのか見失うほどです。4:55からのオクターブのテクニックも見事ですね。

なお、答え合わせのようですが、この音源は、間違いなく 1998年のチャイコフスキーコンクールでの演奏です。以下を聴いてみるとわかるかと思います。


結構コンクールで大胆な演奏をしているのがわかりますね。1986年(16歳)のチャイコフスキーコンクールでもこの曲を弾いていますが、これほど自由な演奏でないことを考えると、1998年は既にコンサートピアニストとして活躍しており、コンサートでのあるかのように演奏しているということがわかります。

さて、最後にホロヴィッツの演奏をご紹介します。上記を確認してからこのホロヴィッツの演奏を聴くと、いかにスルタノフがホロヴィッツに影響を受けていたかがわかるかと思います。
posted by Murakami at 17:36| Comment(0) | 演奏

2019年01月13日

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 K.466

前回モーツァルトの演奏をご紹介しました。(モーツァルト:ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K382

この時の公演(1994年の11月18-19にテキサス州エルパソ)で弾いた、モーツァルトの20番の録音も貴重なものとして残っています。モーツァルトの20番はスルタノフは子供の頃から弾いており、10歳の頃の録音も残されています。これは、タマーラ・ポポヴィチ門下の他の神童も弾いていることを見ると、ポポヴィチ先生の教育方針だったとも見えます。
この曲は、大人になってからも時々弾いていますが、記録を見る限りその機会はかなり限られています。1999年4月9日、ポーランドのカトヴィッツェでの演奏(ポーランド国立放送交響楽団。指揮:Gaetano Delogu)がポーランドのラジオで放送されたことがありますが、今現在流通されている音源は、このYouTubeにある1994年のもののみと言えます。



録音状態にはほんの少し惜しいところがあるのですが、あちこちにスルタノフの工夫が満載であることがよくわかります。その工夫により、曲は大変魅力的に加工されており、モーツァルト自身このような演奏を望んだのではないか、などと称賛されています。カデンツァはベートーベンを使っています。演奏は全般的に1999年の録音と同じようなスタイルで弾かれていますが、カデンツァのトリルの弾き方など異なっているところもあり、5年間で演奏スタイルがどのように変わったかなどの研究対象としても重要です。

この曲が日本で演奏された記録はないと思いますが、この貴重な録音がこうして残されていることに感謝しつつ、是非演奏をお楽しみ下さい。
posted by Murakami at 23:09| Comment(0) | 演奏

2019年01月06日

モーツァルト:ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K382

とあるインタビューによると、モーツァルトはスルタノフのお気に入りの作曲家の1人であり、レパートリも豊富にあると語られていたことがあります。実際にはそれほどレコーディングは残されておらず、また公式なレパートリリストとのギャップもあります。

今日は、モーツァルトの貴重な録音をご紹介したいと思います。



この録音は 1994年の11月18-19にテキサス州エルパソで公演した時の録音です。同じ公演で、モーツアルトの20番も弾いています。指揮はGurer Aykalで、El Paso Symphony Orchestraになります。

この録音は以下の2点で非常に貴重です。
1) モーツアルトの K.382 はスルタノフが7歳の時のデビュー曲でもある
2) この演奏のカデンツァはスルタノフの自作である(多分)

スルタノフのデビュー録音は一応残されており、これと聞き比べることで研究が出来そうです。また、大人になってからこの曲を演奏した唯一の記録であるという点でも貴重です。
演奏は、いかにもスルタノフが弾いたモーツアルト、という印象であり、ニ長調の明るさが幸せいっぱい見事に表現されていると思います。是非お楽しみ下さい。
posted by Murakami at 18:02| Comment(0) | 演奏

2018年12月30日

アンコール (シューベルト 即興曲第4番 op.90-4)

スルタノフが1999年によく使ったアンコールの1つは、シューベルトの即興曲です(op.90-4)。
1999年のツアーは、基本的にリストのソナタを中心にしたものでしたが、微妙に曲目を変えてプログラミングしており、互いに弾かなかったものをよくアンコールで弾いていました。このシューベルトの即興曲も、アンコールでよく演奏されたものの1つです。おそらく作品4曲中、他のもレパートリには入っているとは思いますが、録音が残されたのはこの4曲目だけです。とはいえ、スルタノフらしさを象徴する演奏となっています。



この演奏は、オクターブや裏打ちなど、かなり手が加えられていて、「スルタノフ編」と言ってもよいかと思います。
好き嫌いの好みは分かれそうですが、一度は聞いてみる価値のある演奏です。ご家族によって残された貴重な録音をお楽しみ下さい。

さて、このスルタノフ編の解釈での演奏ですが、来年3月のスルタノフ記念演奏会である、"Tribute to Sultanov Vol.5" にて演奏されます。ご興味がある方は是非 3/31 に MUSICASA へお越し下さい。数々のホロヴィッツ編曲と共に、ウィットの聞いたシューベルトをお楽しみいただけると思います。

Tribute to Sultanov Vol.5 〜今泉響平 CD発売記念リサイタル〜
posted by Murakami at 12:08| Comment(0) | 演奏

2018年12月16日

アンコール (ショパン ワルツ第1番 op.18)

スルタノフのアンコールレパートリとしては、定番とは言えないですが、1996年のツアーではよく使っていたのがショパンのワルツ第1番、華麗なる大円舞曲です。1996年の日本公演でもアンコールレパートリとして使っていました。

日本公演でアンコールで使ったものも、NHKで放映されたのですが、本日は YouTubeに投稿されているポーランドでのリサイタルをご紹介します。こちらはおそらく1996年12月8日のショパン協会主催のワルシャワでのコンサートだと思います。拍手の状況や座ってからの弾き方をみると、アンコールでの演奏と見て間違いないと思います。



この曲、この演奏に限った話ではありませんが、スルタノフのワルツの演奏は、大変ウィットが聴いていて、聴く人を幸せにする魔力があると感じられます。
また、かつて以下のエントリに紹介した通り、少し音を変えて魅力的にするのも特徴的です。
http://blog.alexeisultanov.jp/article/182787184.html

ショパンコンクールでの演奏と聞き比べても面白いかもしれません。コンクールという場ではありますが、スルタノフらしい遊び心が怖いくらい表れていると思います。


なお、有名な話ではありますが、このショパンコンクールでの演奏は、2次予選の途中の曲です。本来観客は、途中で拍手をしてはいけないのですが、この曲が終わると声をあげて拍手をしているのが記録されています。それだけ当時圧倒的なパフォーマンスであったということでしょう。
是非、リサイタルでの演奏、またコンクールでの演奏をお楽しみ下さい。
posted by Murakami at 00:37| Comment(0) | 演奏