2019年05月19日

ショパン:即興曲第3番

幸いなことに、スルタノフの録音は子供の頃のものに演奏したものが残っていますが、その中には、大人になってから録音が残っていない貴重なものがあります。その曲の1つが、ショパンの即興曲第3番です。
スルタノフが演奏するショパンの即興曲といえば、CDのタイトルにもなったくらい幻想即興曲が有名ですが、子供の頃には実は第3番も演奏していたようです。

幻想即興曲に関しては、1981年頃の録音は残っているようですし、モスクワデビューとなった Avicenna(980-1037)の1,000周年記念コンサートでウズベキスタン代表として幻想即興曲を演奏した、という記録はあるようですが、おそらくレパートリにしたのは、こちらの即興曲第3番のほうが先かと思います。
この録音は1979年の演奏で、まだナウモフ先生の影響がなく、ポポヴィチ先生の指導によるものと思われます。



録音状態は決してよくないですが、ポポヴィチ先生の確実な指導のもと、スルタノフの才能がよく見える演奏です。
posted by Murakami at 17:16| Comment(0) | 演奏

2019年04月28日

ショパン:バラード第4番

スルタノフの得意レパートリの1つにショパンのバラード第4番があります。
幸いにして、この曲の録音はわりと残されているのですが、少し整理してみます。

まず、最初に弾いた時期ですが、これはあまりはっきりしていません。子供の頃はバラード1番は弾いていたようですが、4番については記録がありません。
私の手元にある記録では、「1990年1月10年 ミュンヘンのHercules Hallで演奏したかもしれない、とありますが、例えば1990年5月3日のカーネギーホールなどを含め、このクライバーンコンクール優勝記念コンサートシリーズでは、弾かれたという記録は基本的に一切ありません。録音も残っていません。

その次は、1991年8月にTELDECのCDに録音したものになります。
このCDで聴ける演奏は、後ろで紹介する3つのライブ録音に比べると、別人のような演奏です。(この曲目に限らず、このCDの演奏はライブの演奏とはだいぶ異なります)


一般的に私たちが聞いているのは、1995年のショパンコンクールのライブ録音、1996年の東京公演のライブ録音(1996/3/28)、1999年のワルシャワ公演のライブ録音(1996/10/6) の3種類でしょう。
ショパンコンクールの1次予選での演奏は、コンクール補正が多少かかっていますが、同じく1次予選で弾いたエチュードとあわせて、この年のコンクールの優勝者を確信させるに十分な、コンクール史に残る名演だと思います。


時間軸的には、その後の1999年3月に日本公演で弾いた演奏が次になります。
ショパンコンクールの演奏に似てはいますが、演奏会用の細かい工夫が入っています。

(動画は残念ながら途中で切れていますが、同じ録音を「伝説の日本ライブ」のCDでも堪能できます)


最後は、その年の秋のワルシャワ公演のビデオです。基本的に上記の演奏と近い表現ですが、はっきりした違いも見えるので(例:1:58あたりの内声など)、そういう違いなども楽しめるとよいと思います。
posted by Murakami at 20:38| Comment(2) | 演奏

2019年03月17日

スルタノフが弾かなかったホロヴィッツ編

スルタノフが弾いてきたホロヴィッツ編の曲を見てみると
- 1989年頃より、メフィストワルツ第1番
- 1992年頃より、ラフマニノフのピアノソナタ第2番
- 1999年より、ハンガリー狂詩曲第2番
と披露され、その後2000年になり、死の舞踏、カルメン変奏曲、結婚行進曲、さらには変わり者の踊り、と次々レパートリに含まれるようになりました。

この他、録音は未発見ながらも、ハンガリー狂詩曲の第15番や第19番、さらに星条旗よ永遠なれはレパートリに入っていたと言われています。特に星条旗に関しては、アメリカ国籍を取得した場合、その記念セレモニーで演奏する予定があったという噂もありました。
この背景には、1999年の公演活動で楽譜を入手したのではないか、と言われています。特に日本公演ではサイン会などで、実に多くのギフトがファンの方々から手渡されていました。
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当時スルタノフのオフィシャルホームページに公開されていたレパートリリストを日本語にしたのが以下になります。(このレパートリリストは、後々の証言からすると、練習中のものも含まれていたようですが)
アレクセイ・スルタノフ ソロレパートリ

さて、スルタノフが弾かなかったホロヴィッツ編曲の代表的なものは、「展覧会の絵」でしょう。
これについては、「弾かなかった」というか、「2000年当時、展覧会の絵の採譜されたものがまだ流通されていなかった(もしくは世の中に存在していなかった)」というのが正しいかもしれません。一体スルタノフが弾いたら、どんな風に演奏されていたか興味深いですし、今も演奏活動をしていたら、きっと披露されていたことでしょう。


このムソルグスキー=ホロヴィッツの展覧会の絵ですが、3月31日(日) の "Tribute to Sultanov Vol.5" コンサートにて、スルタノフ研究家とも言える今泉響平氏が演奏します。
また、スルタノフが演奏しなかった他のホロヴィッツ編として、オーベルマンの谷、さらには波の上を渡るパオラの聖フランチェスコもあわせて演奏されます。
大変貴重な生演奏の機会ですので、ご興味ありましたら是非以下のコンサートへご来場ください。
Tribute to Sultanov Vol.5 〜今泉響平 CD発売記念リサイタル〜
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posted by Murakami at 18:00| Comment(6) | 演奏

2019年03月10日

リスト=ホロヴィッツ ハンガリー狂詩曲第2番

今回は、リスト=ホロヴィッツのハンガリー狂詩曲第2番をご紹介します。
この曲は1999年の公演シリーズの本プログラムの最後として演奏されていました。リストのソナタを弾いた後、さらにこの曲を弾くのですから、たいした体力と集中力です。


技術的なレベルの高さはもちろんのこと、スルタノフの人間的な魅力がよくあらわれた演奏で、この日の聴衆はみんな幸せな顔をしてサイン会に並んでいたことを覚えています。

さらには2000年のツアーでも、数々のホロヴィッツ編曲とあわせて使われており、2000年3月に、ラトビアのリガで行われたライブ録音は、ライブ・イン・リガとしてCDにもなりました。
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さて、この曲はホロヴィッツが正式に楽譜を書き残したわけではありませんので、スルタノフは、採譜された楽譜や自らの耳を使って再現したと思われます。採譜されたものも、当時(1999年)はPDFとしてインターネットで入手出来るものではなく、コピーなどが繰り返されたものを見たのではないかと思います。
この演奏は、聴く人が聴くと、ホロヴィッツのオリジナルとは音が異なる、「スルタノフ編」とも言えるそうですが、これはベースに使った楽譜のせいかもしれませんし、本人のアイディアなのかもしれません。
耳に自信がある皆様は、ホロヴィッツのオリジナルも聴いてみて比べてみるのも面白いと思います。


このリスト=ホロヴィッツのハンガリー狂詩曲第2番ですが、今度 3月31日(日) の "Tribute to Sultanov Vol.5" コンサートにて「スルタノフ版」として演奏されます。大変貴重な生演奏の機会ですので、ご興味ありましたら是非以下のコンサートへご来場ください。
Tribute to Sultanov Vol.5 〜今泉響平 CD発売記念リサイタル〜
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posted by Murakami at 17:27| Comment(0) | 演奏

2019年03月03日

シューベルトの即興曲 op.90-4

スルタノフの後期のレパートリの1つ、シューベルトの即興曲 op.90-4 をご紹介します。
この曲は、おそらく1999年の公演用として使われ出したかと思います。東京公演など、本プログラムにない公演ではアンコールピースとしてよく演奏されましたし、名古屋公演では本プログラムの中の1曲として使われました。
この曲は「スルタノフ編」と言ってもよい解釈で演奏されていて、立体的に表現されています。初めて聞いた方は、そのスルタノフワールドに驚かれたかと思います。正式な録音は残っていないものの、幸いライブ録音が残っていました。


ホロヴィッツもこの曲を演奏しておりますので、あわせて聞いてみると影響や違いなどがわかって面白いかと思います。


さて、このシューベルトの即興曲 op.90-4(スルタノフ編) ですが、今度 3月31日(日) の "Tribute to Sultanov Vol.5" コンサートにて演奏されます。生演奏では滅多に聴けないレパートリになりますので、ご興味ありましたら是非以下のコンサートへご来場ください。

Tribute to Sultanov Vol.5 〜今泉響平 CD発売記念リサイタル〜

今回ご紹介するスルタノフの演奏やホロヴィッツの演奏と共に、こちらのコンサートもスルタノフやホロヴィッツの演奏をより楽しむ1つのきっかけとして、お越し頂けると嬉しいです。

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posted by Murakami at 11:53| Comment(0) | 演奏