この公式ホームページを見てみると、2023年のコンクールにおける情報が置いてありますが、その中で "Booklet" というコーナーがあり、PDFとなった公式ブックレットがページに埋め込まれています。
この中ではコンクールに関する各種情報が入っているのですが、P10 に「ALEXEI SULTANOV AND THE DISCOVERY PRIZE」の記載があり、以下のメンバーからスルタノフに対するコメントが入っています。
- Richard Rodzinski (クライバーン財団代表)
- Pavel Nersessian (ピアニスト)
- Dace Sultanov (チェリスト、スルタノフ妻)
- Brett Manning (ヴォーカルコーチ)
- Zbigniew Raubo (ピアニスト、当コンクール審査員)
中でも注目すべきは、同じモスクワ音楽院卒であるネルセシアン先生のコメントです。ネルセシアン先生は1964年生まれなので、スルタノフとは5歳差ですね。
コメントを引用します。
Sultanov was a romantic hero, unpredictable on stage, courageous, highly energetic. I remember my huge impression about his mesmerizing energy years ago, but when I listen to his recordings now I notice how clever he is in music construction and how communicative he is. We miss it and miss him.”
簡単に訳すと「スルタノフはロマンティックな英雄で、ステージでは予測不可能であり、とてもエネルギッシュでした。私は昔は彼の魅了するエネルギーに強い感銘を受けていたのですが、今録音を聞いてみると、いかに音楽の組み立て方が賢く、そして対話的であるかということに気が付かされます。私たちは本当に惜しい才能を失いました。」というかんじでしょうか。
ネルセシアンはドレンスキー門下ですので、マツーエフと同じになります。。
これまで、ドレンスキーやマツーエフがスルタノフについてコメントを残していることがありましたが、こうして同じ時代を過ごしたロシアのピアニストたちのコメントが聞けるのは貴重ですね。
ドレンスキーのコメントを紹介したブログはこちら。
マツーエフのコメントを紹介したブログはこちら。
ネルセシアン先生の、コンクール審査員としてのインタビュービデオはこちら。(スルタノフについてのコメントは特にないですが、ショパンの演奏についてアドバイスを語っています。)
コンクールの案内動画。スルタノフ賞についても語られています。
授賞式の最後で流れる、ショパンコンクールでのワルツ1番。そして、それを真剣に見て拍手するネルセシアンを確認出来ます。授賞式でのアナウンスの1つ1つが、とても敬意に満ちていて感動的です。