これは大変貴重な録音です。スルタノフが派手に間違えたのが記録されている、唯一の録音であると共に、バッハのイタリア協奏曲の3楽章の演奏の記録があるのはこの音源のみになるからです。
さて、その大変貴重な演奏はこちらになります。1989年のポゴレリッチフェスティバルでの演奏の録音と言われています。
何ともスルタノフらしい、幸せな始まり方ですが、途中で暗譜が数回怪しくなります。これで止まらず最後まで弾ききるのはさすがプロです。ともあれ、貴重な録音をお楽しみ下さい。
ところで、これはサイドエピソードですが、イタリアのピアニストで Sandro Russo という方がいます。日本でも、名前が知られた方です。
ある時、Sandro氏は突然のリクエストでこのイタリア協奏曲を本番で弾いたときに、悔いの残るミスをしたそうです。彼も実はスルタノフの演奏が好きで、よく聞いているそうですが、いろいろとスルタノフの音源をあさっているうちに、この音源に遭遇しました。Sandro氏曰く、このイタリア協奏曲を聴いていると、自分に弾き方が似ていると思ったそうですが、かつて自分が悔やまれるミスをしたところと同じところでスルタノフもミスしているのを聞いて、特別難しくもないにも関わらず何とも偶然だ、と思ったそうです。
スルタノフにインスパイアされたピアニストたちのこのようなエピソードもまた、興味深いと思います。
2018年07月07日
スルタノフも間違える(バッハ:イタリア協奏曲第3楽章)
posted by Murakami at 11:01| Comment(0)
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