2018年06月09日

スルタノフの演奏に見るホロヴィッツの影響(モーツァルト)

スルタノフの演奏を聴いていると、いたるところにホロヴィッツの影響を感じることが出来ます。本日はその1つをご紹介します。

スルタノフが演奏したモーツァルトの K.330 はクライバーンコンクールで演奏した 2, 3楽章が録音としては有名ですが、大変貴重な1楽章の録音も実は残っています。

以下の録音日時はあまりはっきりしませんが、情報を整理する限り1991年12月20日ギリシャのアテネ公演での録音の可能性が高いと判断しています。


この演奏は自由度が高く音楽の喜びが見事に表現された素晴らしい演奏で、是非多くの方に聴いて頂きたい演奏です。

ところで、スルタノフと K.330 といえば、1986年のホロヴィッツモスクワ公演で演奏を生で聴いて大きな刺激を受けたであると想像されます。その後、スルタノフは1989年にホロヴィッツの自宅を訪ねた時も、ホロヴィッツの前でこの曲を演奏しています。
そのホロヴィッツのモスクワ公演の演奏を聴いてみると、スルタノフがいかにこの演奏から影響を受けていたかがわかります。第2主題の入り方や、ドミナントコードの弾き方など、あちこちに感じることが出来ます。


特に特徴的なのは、トリルの弾き方です。スルタノフの演奏では最初に1:22あたりに出てくる以下の部分は、中でも特徴的です。ホロヴィッツに倣い、何ともお洒落な弾き方です。
Mozart-KV_330.png

スルタノフは好きな作曲家にモーツァルトをあげていましたが、この演奏を聴くと実によくわかりますし、他にも様々な録音を聴いてみたいと思わされます。

posted by Murakami at 11:29| Comment(0) | 演奏
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