2018年09月29日

クライバーンコンクールのドキュメンタリーより

クライバーンコンクールのドキュメンタリービデオは、単に演奏の記録だけではなく、スルタノフについて様々な視点から知れる重要な資料です。

本当はDVDを入手するのが最もよいのですが、現在は例えば Amazon ではなかなか入手が難しくなっています。


どうやらクライバーン協会のショップでは常識的なお値段で購入出来そうですので、お持ちでないスルタノフファンの方は、是非こちらから購入されるとよいと思います。
Eighth Cliburn Competition (1989) Documentary DVD: Here to Make Music

さて、全てではありませんが、その一部は YouTube で公開されています。


演奏もそうですが、2:40頃から、サン=サーンスのコンチェルトをキーボードで遊んだり、またちょっとしたジャズを弾いてみたり、ガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルーの一部を弾いているシーンは大変貴重です。ラプソディー・イン・ブルーは、1991年の7月20日に、演奏した、という記録がありますが、既にこの頃からレパートリに入っていたとは興味深いです。
サン=サーンスのコンチェルトは、エリッソ・ヴォルクヴァゼが本選で演奏するのですが、出場者の全員が大変仲良くしているのがわかります。DVDを見るともっとわかりますが、出場者たちは本当に仲良くなるようです。

貴重という意味では、ドヴォルザークのクインテットのシーンも貴重です。私が知る限り、クインテットの残された録音は流通されておらず、このシーンだけになります。

最後に、このコンクールのために書かれた、W.シューマンのチェスターというピアノ曲ですが、こちらはスルタノフの録音がばっちり残っており、映像の中でも一部を見ることが出来ます。
以下の通り楽譜も市販されていますので、ご興味がある方は是非手にとって演奏してみるとよいと思います。
Chester Variations For Piano
posted by Murakami at 17:20| Comment(0) | 一般

2018年09月22日

クライバーンコンクールのビデオ予選

スルタノフのクライバーンコンクールに関してはこれまで様々な形で報道されていますが、案外きちんと伝えられていないのは、予備予選のビデオ審査についてです。

スルタノフがビデオ審査で、以下のメフィストワルツを弾いたことは大変有名です。


この映像が、クライバーンコンクールのビデオ審査のために収録されたことは、ドキュメンタリーフィルム"Here to make music" の中でも数秒公開されているため、明らかです。

ここでの疑問として、なぜスルタノフは当時モスクワに住んでおり、モスクワ音楽院に通っていたにも関わらず、サンクトペテルブルクでビデオを撮影したのか、ということです。
このことについて、弟のセルゲイ氏について聞いてみたところ、「あのビデオはコンクール運営事務局が撮影したもので、その会場がサンクトペテルブルクであったから」ということです。最近ではビデオ審査というと、コンテスタントが自身で撮影するイメージがありますが、当時の映像技術や公平性などを考えると、そういうものなのかもしれません。

この内容の裏づけのために、以下の本を確認してみました。


この P.222-227 に今回のことに関連する内容が書いてあります。クライバーンコンクールでは、ビデオ審査を公正にするために録音装置などを工夫して、各都市における条件を均一にして、17の会場の音響的な相違が最小限度におさえられる形で実施したようです。
また、その結果として「おのおのの応募者は、自分が演奏した45分のリサイタルから、25分を選び、それに従いテープは編集された」ということです。スルタノフがどういう45分のリサイタルをしたかは情報がありませんが、少なくとも以下のラフマニノフのエチュードもあわせて収録されたと思います。



ソ連からの出場者については以下の記述があります。
ソ連からの4名は、当初の15人のグループから、まずソ連側がレニングラードで選考を行い、そのうちから5名が、クライバーン当局により、ビデオ撮影候補に選ばれたものだった。

最終的に、ソ連からは以下の4名が参加しました。
- アレクセイ・スルタノフ(第1位)
- アレクサンドル・シュタルクマン(第4位)
- エリッソ・ヴォルクヴァゼ(第6位)
- ヴェロニカ・レズニコフスカヤ

こちらが、オフィシャルな結果になります。USSRは強いですね。
EIGHTH VAN CLIBURN INTERNATIONAL PIANO COMPETITION
posted by Murakami at 18:48| Comment(0) | ご家族

2018年09月16日

クライバーンコンクールファイナルのラフマニノフ

最近、ブログやTwitterなどのソーシャルメディアで、少しずつスルタノフの名前が出てきていることを嬉しく思っております。先日は、以下の記事で経営コンサル兼ピアニスト様が以下のような記事を投稿して下さいました。影響力のある方に取り上げて頂けることを嬉しく思います。

アレクセイ(アリョーシャ)・スルタノフというピアニスト(1)

この中で、紹介されている動画が「1989年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール、ファイナルでのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第1楽章」かどうかについての記載があります。これについて正確に記載されたものはないのですが、私が知っている限りの情報を組み合わせると、その答えは「Yes」だと思います。

スルタノフは、1989年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールのファイナルで、ショパンのピアノ協奏曲第2番と、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾いています。以下のページでも紹介している次第です。
1989年第8回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール

スルタノフがコンクールで弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲2番の演奏は、コンクールのオフィシャルドキュメンタリーフィルム「Here to make music」の中でも3楽章が紹介されています。

この時のコンクールについてを記載した「国際ピアノコンクール」という書籍によると、授賞式ではショパンの変ホ長調のワルツ(おそらく Op.18)と、ハ短調練習曲作品10(おそらくop.10-12)を弾いたということですし、これは本選の映像で間違いないと思います。(なお以下の本になりますが、この筆者はスルタノフの演奏をあまり評価していません)


このドキュメンタリーフィルム"Here to make music"の映像の一部、ラフマニノフの演奏シーンは、YouTubeでも確認することが出来ます。


オリジナルのブログ記事で言及されているラフマニノフの協奏曲の動画ですが、3楽章のカメラワークが、上記の公式ドキュメンタリーフィルムと完全一致しているので、コンクール提供の映像のフルバージョンと考えてよいと思います。このフルバージョンが、正式に販売されたり、公共放送で流れたことはないと思いますが、少なくともだいぶ以前からご家族には渡されていました。このフルバージョンは、当初ご家族から YouTube にアップされていましたし、また、ご家族からは親しい方々にDVDが配られていましたので、それらの動画ファイルがこの出典になっていると思います。
サービス開始当初のYouTubeは1つの動画あたり 10分の時間制約があったため、初期にアップされたスルタノフの動画は楽章の中で分割されており残念でしたが、最近、このブログでもご紹介した harmony14447さんが、全部をアップして下さいました。とても19歳の演奏とは思えない、大変立体的で説得力のある名演だと思います!お楽しみ下さい!
第1楽章:

第2楽章:

第3楽章:


最後はアメリカらしく、客席が爆発するような大拍手ですね!
posted by Murakami at 16:11| Comment(0) | 演奏

2018年09月08日

アリョーシャのピアノ

現在モスクワのスルタノフ家には、どういったピアノがあるでしょうか。先日、弟のセルゲイ氏とそんな話をしたのでご紹介したいと思います。

まず1つ目は、セルゲイ氏が「アレクセイのピアノ」と呼ぶアップライトピアノです。
このピアノは、彼らがタシケントにいた時から使っていたピアノですが、「もう壊れていて使えない」ものだそうです。このピアノはセルゲイ氏の自宅に今も置いてあります。私が訪れた時は、こんなかんじで、アリョーシャ祭り状態になっていました。若きアレクセイが弾きつぶすまで練習に使った、博物館行きに相当するピアノです。
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2つ目のピアノは、同じくセルゲイ氏宅にあり、Petrof社のアップライトピアノということです。

3つ目のピアノは、スルタノフご両親宅にあります。GEYER社という東ドイツ製のピアノです。
スルタノフはアメリカに移住後、1998年にチャイコフスキーコンクール参加のためにモスクワに戻ってきていますが、その時はこのピアノで練習していたといいます。

一方で、テキサス州のフォートワースのご自宅には今も YAMAHA のピアノがあります。こちらは、7フィートモデルということです。また、それとは別途電子キーボードもあります。
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以下の自宅練習中の風景を見ると、普段の練習の時はピアノの蓋は閉じていて、その上に譜面台をのせていたと思われます。
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posted by Murakami at 09:57| Comment(0) | 一般

2018年09月02日

スルタノフ兄弟の連弾

兄弟でピアニストであれば、一度は連弾という話があると思います。アレクセイとその弟セルゲイは年の差7歳であり、兄アレクセイは19歳でヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールに優勝してから、拠点がモスクワからアメリカになっていますので、一緒に過ごした期間はかなり限定されますが、それでも連弾などをしたことがあるのか、という質問をセルゲイ氏にしてみました。

公の場では演奏はしたことはないそうですが、家で楽しむ程度に2人で弾いたことはあるそうです。
例えば作品としては、ラヴェルのマ・メール・ロワ。
録音はないですが、以下は気分を味わう参考資料として、アルゲリッチ&ランランの演奏です。


他にはシューベルトの作品をいくつか弾いたそうです。
スルタノフのシューベルトの連弾といえば、ホロヴィッツと演奏した幻想曲を思い出しますが、そうではなく軍隊行進曲など別の作品で遊んだようです。
(参考:スルタノフとホロヴィッツ(ご対面編): アレクセイ・スルタノフ情報

また、ベートーベンの交響曲の連弾なども兄弟で楽しんだようでした。

なお、私は弟のセルゲイとは連弾をした経験があります。合わせ時間はあまりない中での本番だったのですが、結構攻めるタイプなのだと感じました。兄の影響もあったのかもしれませんね。
posted by Murakami at 11:38| Comment(0) | ご家族