2019年05月19日

ショパン:即興曲第3番

幸いなことに、スルタノフの録音は子供の頃のものに演奏したものが残っていますが、その中には、大人になってから録音が残っていない貴重なものがあります。その曲の1つが、ショパンの即興曲第3番です。
スルタノフが演奏するショパンの即興曲といえば、CDのタイトルにもなったくらい幻想即興曲が有名ですが、子供の頃には実は第3番も演奏していたようです。

幻想即興曲に関しては、1981年頃の録音は残っているようですし、モスクワデビューとなった Avicenna(980-1037)の1,000周年記念コンサートでウズベキスタン代表として幻想即興曲を演奏した、という記録はあるようですが、おそらくレパートリにしたのは、こちらの即興曲第3番のほうが先かと思います。
この録音は1979年の演奏で、まだナウモフ先生の影響がなく、ポポヴィチ先生の指導によるものと思われます。



録音状態は決してよくないですが、ポポヴィチ先生の確実な指導のもと、スルタノフの才能がよく見える演奏です。
posted by Murakami at 17:16| Comment(0) | 演奏

2019年05月12日

「スルタノフ版」入りのCD発売のお知らせ

以前、「スルタノフ編を弾くピアニスト」というタイトルで、スルタノフに影響されて演奏する現代ピアニストの紹介をしました。

当会で主催する「Tribute to Sultanov」コンサートシリーズにも出演する、スルタノフ研究を専門とするピアニストの今泉響平さんですが、最近オフィシャルページの作成にあわせて、CDもインターネットで購入できるようになっています。

Discography - 今泉響平OFFICALSITE

特にスルタノフファンにとっては、
- ラフマニノフ=ホロヴィッツ(スルタノフ版):ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.36
- リスト=ブゾーニ=ホロヴィッツ(スルタノフ版):メフィストワルツ第1番 「村の居酒屋での踊り」S.514

の2曲が興味深いです。例えばメフィストワルツの例のところは、3度で演奏されているか、など、是非お手にとって確認してみて下さい。

これまで、何名かのピアニストによって、「スルタノフ編」とよばれる作品が演奏されてはきましたが、このように録音という形でリリースされるのは、本人以外でも世界で最初ではないかと思います。

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posted by Murakami at 11:49| Comment(0) | お知らせ

2019年05月04日

テキサスで開催されたAlexei Sultanov Tribute Concert

日本でもスルタノフの記念コンサートを行っていますが、スルタノフが最後に暮らした土地、テキサスのフォートワースでも、記念コンサートがよく開催されています。
今年も奥様の Dace Sultanov 氏を中心に 4/28 に開催されました。会場はフォートワースの教会、First United Methodist Churchになります。その時のコンサートが全編 YouTube に公開されましたのでご紹介したいと思います。



コンサートは、スルタノフが好んだ曲が幅広いジャンルから選ばれており、出演者からスルタノフ・ファミリーへの深い愛情を感じることが出来ます。

最初に、スコット・ジョプリンのメープル・リーフ・ラグが演奏されました。ピアノ演奏は、昨年のコンサートにも出演したオルガン奏者のPeggy Graff氏です。

その後、主催のDace氏から、簡単なお話がありました。
- ホロヴィッツのコンサートで屋根から滑り落ちそうになったDace氏を救ってくれたこと
- クライバーンのコンクールで優勝し、Devid Lettermanのショーに出演したこと
- 飛行機の中で、盲腸の女の子を助けたこと
- 4年半の闘病中の中で、左半身が麻痺しながらも、ピアノを弾いたこと
- フォートワースに、「アレクセイの噴水」を作りたいということ

次に「Jon Fortman」という作曲家が、Alexei と Dace のために作曲した作品、「Magija Harmonija」が演奏されました。この作品は、もともと昨年オルガンとチェロのために作曲されたものですが、今日の日のために再度オーケストラ向けで編曲されました。

それから、スルタノフが好きな作曲家「Nino Rota」の映画「Amarcord」から、ピアノとチェロで「Mia malinconia」という作品。

さらに、スルタノフがテレビゲームが大好きであった(ゼルダや、ファイナルファンタジー、マリオなど)という話をした上で、ウクレレ奏者の Tom McDermott氏による、スーパーマリオのテーマ。

続いて、ピアノとチェロの演奏で、タイスの瞑想曲。さらに、スルタノフがアンコールによく弾いたということから、カルメンのジプシーの踊りをサラサーテ版をチェロにアレンジして演奏。

そして、ここからは、雰囲気をがらっと変えて、eleven:eleven という教会バンドによる演奏になります。Dace氏はこのバンドで演奏するようになって、今年のイースターでちょうど10年を迎えたそうです。
Brad Thompson氏をリードボーカルとして、ここからスルタノフが好んだ曲が次々と演奏されました。
- Stevie Wonder: I just called to say I love you
- Michael Jackson: Billie Jean
- Louis Armstrong: What a Wonderful World
- Gloria Gaynor: I Will Survive
- Stevie Wonder: Sir Duke

そして最後に、アンコールで以下を演奏しました。
Sam and Dave: Hold on I'm coming

心温まる演奏会に見えました。日本やポーランド、モスクワなど、世界各地でこのような企画は行われているわけですが、とてもアメリカ的であり、そして地元の応援というかんじがします。

また、長年の夢であった、「スルタノフの噴水」の企画も紹介され、順調に進んでいそうなことがわかりました。
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posted by Murakami at 08:34| Comment(0) | コンサート

2019年04月28日

ショパン:バラード第4番

スルタノフの得意レパートリの1つにショパンのバラード第4番があります。
幸いにして、この曲の録音はわりと残されているのですが、少し整理してみます。

まず、最初に弾いた時期ですが、これはあまりはっきりしていません。子供の頃はバラード1番は弾いていたようですが、4番については記録がありません。
私の手元にある記録では、「1990年1月10年 ミュンヘンのHercules Hallで演奏したかもしれない、とありますが、例えば1990年5月3日のカーネギーホールなどを含め、このクライバーンコンクール優勝記念コンサートシリーズでは、弾かれたという記録は基本的に一切ありません。録音も残っていません。

その次は、1991年8月にTELDECのCDに録音したものになります。
このCDで聴ける演奏は、後ろで紹介する3つのライブ録音に比べると、別人のような演奏です。(この曲目に限らず、このCDの演奏はライブの演奏とはだいぶ異なります)


一般的に私たちが聞いているのは、1995年のショパンコンクールのライブ録音、1996年の東京公演のライブ録音(1996/3/28)、1999年のワルシャワ公演のライブ録音(1996/10/6) の3種類でしょう。
ショパンコンクールの1次予選での演奏は、コンクール補正が多少かかっていますが、同じく1次予選で弾いたエチュードとあわせて、この年のコンクールの優勝者を確信させるに十分な、コンクール史に残る名演だと思います。


時間軸的には、その後の1999年3月に日本公演で弾いた演奏が次になります。
ショパンコンクールの演奏に似てはいますが、演奏会用の細かい工夫が入っています。

(動画は残念ながら途中で切れていますが、同じ録音を「伝説の日本ライブ」のCDでも堪能できます)


最後は、その年の秋のワルシャワ公演のビデオです。基本的に上記の演奏と近い表現ですが、はっきりした違いも見えるので(例:1:58あたりの内声など)、そういう違いなども楽しめるとよいと思います。
posted by Murakami at 20:38| Comment(2) | 演奏

2019年04月21日

1996年ワルシャワコンサートの録画

スルタノフの録音・録画の中でも、日本公演のものや、コンクールの演奏はよく知られているのですが、他国でのコンサートの録音・録画で、その国のテレビ局・ラジオ局で放映されたものも、多少あります。これらは大変貴重なものです。

1996年のワルシャワ公演は、YouTubeで確認することが出来るのですが、大変貴重なものです。
以下はバラード4番の演奏になります。


この Nissor氏は、このリサイタルの全4編を公開してくれています。
- ショパン:バラード4番
- ショパン:スケルツォ3番
- ショパン:ワルツ1番
- ショパン:幻想即興曲
ご興味がある方は、是非聞いてみて下さい。

さて、ところで、この Nissor氏こと、Ulugbek Palvanov氏は、以前も紹介させて頂いた通り、スルタノフとも大変関係が深いピアニストです。彼は、タシケント出身であり、Tamara Popovich先生に師事し、さらには Lev Naumov 先生にも師事しています。彼の YouTubeライブラリからは、自身の演奏も公開されていますが、大変魅力的な演奏で、きっとスルタノフファンならば気に入るのではないかと思います。是非一度聞いてみて下さい。

ちなみに、Popovich先生の門下生に興味がある場合は、こちらの記事が必読です!私も何度でも読みたいです!
Music Culture of the 20th Century Uzbekistan
posted by Murakami at 00:16| Comment(1) | コンサート