2018年11月10日

Sultanov Encoresシリーズ、ホロヴィッツ 変わり者の踊り

Sultanov Encores シリーズの5つ目は、大変貴重なこちらの録音、ホロヴィッツ作曲の「変わり者の踊り」です。



アンコールシリーズといいつつ、スルタノフがこの曲をアンコールで弾いた、という事実は確認されていません。この録音は、ロシアなどでひっそりと発売された「Unpublished Sultanov」というCDに入ったものとされますが、その録音背景などははっきりとはわかっていません。

スルタノフは実は当時ジャパンアーツから、ホロヴィッツ作品集を出版する企画がありました。それに向けて、各種の準備が進められており、このレパートリもその1つではなかったのかと想定されます。
今では YouTube もあり、またホロヴィッツの楽譜の多くは、有志が採譜したものが PDF で出回っている状況ですが、まだデジタル化が進んでいなかった当時は当たり前のことではありませんでした。スルタノフは 1999年の演奏旅行中に、これらの貴重な楽譜の多くを入手し、それがきっかけであったのではないか、とも推測されます。

スルタノフが演奏活動をしていた最晩年に録音されたと思われるこの音源、どうぞお楽しみ下さい。
posted by Murakami at 18:56| Comment(0) | 演奏

2018年11月04日

Sultanov Encoresシリーズ、バッハ プレリュード

Sultanov Encores シリーズの4つ目は、こちらの演奏です。1997年の大阪公演でのアンコールでの録音になります。



さて、この演奏は間違いなく、賛否両論があると思います。一応タイトルは、「Bach Prelude in C」となっており、平均律1巻のプレリュードを弾いているのですが、聞いたことのないテンポで演奏されています。
この曲を聴く場合は、バッハのプレリュードが演奏されているとするよりは、新しい演奏のアイディアが提示されていると考えたほうがよいかと思います。よく聴いてみると、ダイナミクスやパッセージの作り方など、個性豊かな演奏になっていますので、第一印象で決めずに、一度じっくり聴いてみて下さい。

スルタノフは主に1997年のシリーズに、アンコールピースとして時々この曲を使っていました。この録音が大阪公演の録音であるように、東京など、日本公演でも演奏しています。インパクトのあるピースですので、覚えている方もいらっしゃると思います。

さて、スルタノフはその後 1998 年のチャイコフスキーコンクールに出るわけですが、その時のバッハの平均律には、この第1巻の1番を選んでいます。(1986年に出た時は第2巻の21番を弾いています。)
その時は、上記のようではなく、バッハの作品として演奏しています。



スルタノフがこのバッハのプレリュードをいかに好んでいたかは、電子ピアノで遊びながら作ったというこの作品にもあらわれています。この曲は、「ライブ・イン・リガ」のCDの最後に収録され、伊賀あゆみ&山口雅敏ピアノデュオによって、スルタノフコンサートでもたびたび編曲されながら演奏されています。



スルタノフのアイディアあふれる演奏と、そこから派生する新しい音楽をお楽しみ下さい!
posted by Murakami at 10:58| Comment(0) | ご家族

2018年10月27日

Sultanov Encoresシリーズ、ラフマニノフV.R.のポルカ

Sultanov Encores シリーズの3つ目は、こちら、ラフマニノフのV.R.のポルカです。



この演奏は、1992年10月24日のワシントンD.C.のケネディセンターでのリサイタルのアンコールになります。
この音源は大変貴重で、これまでレパートリリストには入っていたものの、演奏の記録が全くなかったレパートリです。録音も出回っておらず、スルタノフ夫人がYouTubeにアップしたこの1つのみになります。
このラフマニノフを聴くと、ますます3番の協奏曲が聞きたかったな、と感じるのではないでしょうか。2:44の左手などは、とてもスルタノフらしいなと思います。

それほどアンコールで多用したわけではありませんでしたが、この曲を選んで弾いた理由は、やはり、ホロヴィッツの得意レパートリであった、ということはあるでしょう。
スルタノフの演奏にあわせて、ホロヴィッツの演奏もお楽しみ下さい。
posted by Murakami at 12:35| Comment(0) | 演奏

2018年10月21日

Sultanov Encoresシリーズ、ショパンワルツ第7番(op.64-2)

Sultanov Encores シリーズの2つ目は、こちらのショパンのワルツ第7番です。
スルタノフは、1999年の日本公演で、本プログラムの中に入れると共に、アンコールでもこの曲をよく演奏しました。もちろんレパートリとしては古くからあり、11歳の時に弾いた記録なども残っていますが、デビュー後は主に1999年以降に弾いていました。

日本公演でもかなり積極的に弾いていましたが、NHKでの放映に入らなかったこともあり、YouTube時代が来るまで録音を聞ける機会がなかったかと思います。この録音が最初に出回ったのは、ロシアやポーランドでひっそりと出回っていた「Unpublished Sultanov」というアルバムに収録された演奏です。

このCDに含まれるものもそうですし、以下のYouTubeの演奏でも、1999年のザクレブ(クロアチア)の録音と書いてありますが、私の手元の "Unpublished Sultanov" に含まれている音源と比較すると、似てはいるものの、違う日の演奏にも見えます。
いずれにせよ、貴重なライブ録音になります。是非お楽しみ下さい。

スルタノフらしい軽快な速度で、1拍子で弾いているようにも感じ取れます。バスをオクターブ下げてみたり、内声を作ったり、装飾を入れたり、コントラストを出したりするのも、いかにもスルタノフらしい遊びです。この曲は歴史的にも数多くのピアニストがいろいろ弾いていますので、そうした影響もあるのではないかと思います。実際に11歳の時に弾いたという録音からも、子供の演奏とは思えぬ、大人びた音楽性が見られます。
1999年の来日をご存知の方は、懐かしくも思うでしょうし、是非楽しそうに弾くスルタノフの演奏姿を思い浮かべながらお楽しみ下さい。
posted by Murakami at 00:12| Comment(0) | 演奏

2018年10月13日

Sultanov Encoresシリーズ、スクリャービンエチュード(op.8-12)

YouTubeには、スルタノフの演奏がたくさん投稿されていますが、中には大変貴重なレパートリなども見つけることが出来ます。特に、アンコールレパートリには、日本公演でも定番のものから、演奏した事実を知らなかったものまで、様々が存在しており、大変貴重といえます。
スルタノフのご家族が "Sultanov Encores"シリーズとして、いくつかを公開して下さっていますが、そのタイトルがついていなくても貴重な録音がいろいろとありますので、そういうものをご紹介していきたいと思います。

今回は、スクリャービンのエチュード op.8-12 です。スルタノフは日本公演でも1999年はほぼ毎回このエチュードをアンコールに弾いていましたし、97年にも披露しています。1998年のチャイコフスキーコンクールでも弾きましたし、古くは14歳の時の録音も残っていますので、得意としてきたのだと思います。スルタノフが敬愛するホロヴィッツの得意レパートリということもあるでしょう。演奏解釈も、時代によっていろいろと変わっているのも興味深いです。

以下の音源は、1997年の大阪公演からのライブ録音です。大変素晴らしい演奏です。よく言われることですが、中間部の内声の出し方は、スルタノフ特有で大変魅力的です。強烈なフォルテと美しい弱音のコントラストがまた素晴らしいです。



演奏の最後には、待ちきれずにブラボーを叫んだ観客の声も入っています。
実はこの日の大阪公演(1997年3月30日ザ・シンフォニーホール)は、本当に特別な熱気に包まれており、アンコールの盛り上がりは異常でした。記憶が正しければ、3曲のアンコールを演奏し、会場に明かりがついて公演は終了になったはずですが、永遠に終わらない拍手と帰らない聴衆に対して、仕方ないなーとばかりに再度照明を落として2曲を追加で弾いたはずです。私も会場にいましたが、こんなことってあるのだな、と興奮しました。この録音も、その伝説の公演の一部と思うととても貴重であり、それをこうして聴くことが出来るのは大変嬉しいことです。
当ブログをお読み頂いている読者様の中にも、この日の公演に行かれた方はいらっしゃいますでしょうか。
posted by Murakami at 08:33| Comment(0) | 演奏